墓にとどまることを願う男について
3巻 P.747-755
アブー・フライラは伝えている
アッラーのみ使いは言われた。「“最後の時”が近づくと、他人の墓の側を通りかかる男は『この場所が、私の住む家であればよいのに』と言うであろう」
アブー・フライラは伝えている
アッラーのみ使いは言われた。
「私の生命を御手にしている方に誓って!
この世が終りになる時には、墓の側を通りがかる男がその墓をなでながら『この墓に入っている人と一緒にいたいものだ』と言うであろう。
ただし、それは信仰上の理由からではなくこの世の災害から逃れるためであるが」
アブー・フライラは伝えている
預言者は言われた。
「私の生命を御手にもつ方に誓って!
殺人者がどうして殺人を行なったのかわからず、犠牲者がなぜ犠牲になったのかを知らないほど人々の上に混乱した時代が来るであろう」
アブー・フライラは伝えている
アッラーのみ使いは言われた。
「私の生命を手にする方に誓って!
この世が終りになる頃には、殺人者には殺人の理由がわからず、殺された者にも殺された理由がわからなくなるであろう。
『どうして、そのようなことが起るのか』と聞かれるが、それに対しては『混乱のためである。
殺人者も被害者も火で焼かれる』と告げられる」
アブー・フライラは伝えている
預言者は言われた。
「カーバ神殿は、脛の小さいアビシニア(エチオピア)人によって破壊されるであろう」
アブー・フライラによる前記と同内容のハディースは、別の伝承者経路でも伝えられている。
アブー・フライラは伝えている
アッラーのみ使いは言われた。
「小さな脛をもつエチオピア人らが、アッラーの館(神殿)を破壊するであろう」
アブー・フライラは伝えている
アッラーのみ使いは言われた。
「“最後の時”が迫る頃には、カフターン族の或る人物が現われ、人々を杖で駆り立てるであろう」
アブー・フライラは伝えている
預言者は言われた。
「昼と夜が終りとなる頃には、ジャフジャーフと呼ばれる男が、玉座を占拠するであろう」
これに関連し、イマーム・ムスリムは、「ジャフジャーフとはアブドル・マジード族の四人兄弟のことで、それぞれの名は、シャリーク、ウバイドッラー、ウマイル、アブドル・カビールである」と述べている。
アブー・フライラは伝えている
預言者は言われた。
「“最後の時”が迫る頃には、あなたたちは、打ち金付きの楯のような顔(注)をした人々と戦うことであろう。
また、“最後の時”が迫ると、あなたたちは、毛で作った靴をはいた者らと戦うことであろう」
(注)兜をつけた人の意
アブー・フライラは伝えている
アッラーのみ使いは言われた。
「“最後の時”は、あなたたちが毛で作った靴をはき、顔付きが金具を打った楯のような人々と戦った後に起るであろう」
アブー・フライラは伝えている
預言者は言われた。
「“最後の時”が迫る頃には、あなたたちは、毛で作った靴をはいた人々と戦うであろう。
また“最後の時”が迫る頃には、あなたたちは、目が小さく獅子鼻をした人々と戦うであろう」
アブー・フライラは伝えている
アッラーのみ使いは言われた。
「“最後の時”が間近になる頃には、ムスリムはトルコ人たちと戦うであろう。
彼らは、打ち金付きの楯のような顔をし、毛織りの衣服を着、毛で作った靴をはいて歩く人(注)たちである」
(注)チンギスハーンやチムールの侵攻を指すとも言われる
アブー・フライラは伝えている
アッラーのみ使いは言われた。
「“最後の時”が目前に迫る頃、あなたたちは、毛製の靴をはき、打ち金の楯のような顔付きの飲酒のため顔を赤くした目の小さい人々と戦うであろう」
アブー・ナドラは伝えている
我々がジャービル・ビン・アブドッラーの処にいた時、彼は「イラクの人々は、彼らのカフィーズやディルハム(食品や金銭の呼称基準)を送らなくなるかも知れない」と言った。
我々が「それはどうしてですか」と聞くと、彼は、「非アラブ人たちが、それを邪魔するからです」と答えた。
彼は、また「シリアの人々は、彼らのディーナールやムッド(金銭や食品の呼称基準)を送らなくなるかもしれない」と言った。
我々が「それはどうしてですか」と聞くと、彼は「ローマ人たちが、邪魔するからです」と答えた。
ジャービルは、一寸の間沈黙したが、その後、次のように話した。
「アッラーのみ使いは、“私のウンマの最後の時代に、一人のカリフ (支配者)が現われるが、彼は、人々に、数えもせずに金銭を両手一杯づつ与えるであろう”と言われた」
口述者の一人、ジュライリーは、「これに関連し、アブー・ナドラ及びアブー・アラーウに『そのカリフとは、ウマル・ビン・アブドル・アズィーズのことですか』と聞いたが、両人共、『いや、違う』と答えた」と伝えている。
前記と同内容のハディースは、サイード(ジュライリー)によっても別の伝承者経路で伝えられている。
アブー・サイードは伝えている
アッラーのみ使いは言われた。
「あなたたちのカリフとして、人々に両手一杯の富を数えもせずに与えるものが現われるであろう」
アブー・サイードとジャービル・ビン・アブドッラーは伝えている
アッラーのみ使いは言われた。
「最後の時代には、富を数えもせずに分配するカリフが現われるであろう」
アブー・サイードによる前記と同内容のハディースは、別の伝承者経路でも伝えられている。
アブー・マスラマは伝えている
私は、アブー・ナドラからアブー・サイード・フドリーが次のように語ったと聞いた。
私(アブー・サイード・フドリー)よりももっと優れた人が、次のように話してくれた。
「アッラーのみ使いは、(ハンダクの戦いの前)塹壕(ハンダク)を掘っていたアンマールが額の汗をぬぐっている時、
彼に「スマイヤの息子よ(あなたは災難にまきこまれ、その結果)叛乱グループは、あなたを殺すであろう」と言われた(注)」
(注)アンマール・ビン・ヤースィルは、スィッフィーンの戦いで、アリー側に加わり戦死した
アブー・マスラマによる前記と同内容のハディースは、別の伝承者経路でも伝えられている。
なお、それには、「“私よりもっと優れた人物”とは、アブー・カターダのことである」と記され、み使いの言葉も「“なんと悲しいことか、スマイヤの息子よ”と言う表現である」と記されている。
ウンム・サラマは伝えている
アッラーのみ使いは、アンマールに対し、「叛乱グループがあなたを殺すであろう」と言われた。
ウンム・サラマによる前記と同内容のハディースは、別の伝承者経路でも伝えられている。
ウンム・サラマは伝えている
アッラーのみ使いは言われた。「叛乱者のグループがアンマールを殺すであろう」
アブー・フライラは伝えている
預言者は、「このクライシュ族の者たちは、私のウンマの人々を殺すであろう」と言われた。
この時、教友らが「その場合、どうすべきであると我々に命令なさるのですか」と聞くと、み使いは「ウンマの人々が、彼らを避ければよいだろうに」と言われた。
前記と同内容のハディースは、シュウバによっても別の伝承者経路で伝えられている。
アブー・フライラは伝えている
アッラーのみ使いは言われた。
「キスラー(ペルシャの王)が死ぬと、その後、キスラーになる者はいない。
カイサル(ローマ皇帝)が死ぬと、その後、カイサルになる者はいない。
私の生命を御手にする方に誓って!
あなたたちは、彼らの宝物をアッラーの道のために用いることであろう」
前記と同内容のハディースは、ズフリーによっても別の伝承者経路で伝えられている。
ハンマーム・ビン・ムナッビフは伝えている
これは、アブー・フライラがアッラーのみ使いより聞いて伝えた多くのハディースの中の一つである。
アッラーのみ使いは言われた。
「キスラーが滅びると、その後、キスラーは存在しなくなる。
カイサルが滅びると、その後、カイサルは存在しなくなる。
あなたたちは、彼らの宝物をアッラーの道のため分配することになるだろう」
ジャービル・ビン・サムラは伝えている
アッラーのみ使いは言われた。
以下は、前記アブー・フライラによるハディースと同内容である。
ジャービル・ビン・サムラは伝えている
アッラーのみ使いは言われた。
「ムスリムたちのグループのため、もしくは、信仰者たちのグループのため、白い王宮(注)にあるキスラー家の宝物は開放される」
(注)マダーイン(バグダードの南)の王宮を指すと言われる
ジャービル・ビン・サムラによる前記と同内容のハディースは、別の伝承者経路でも伝えられている。
アブー・フライラは伝えている
アッラーのみ使いは、「一方は陸地で他方は海に接している町(コンスタンチノーブル)について、なにか聞いたことがあるか」と言われた。
人々が「いいえ、ありません」と答えると、み使いは「“最後の時”が近づく頃には、七万のイスラーイールの民(バヌー・イスハーク)(注)がここを攻撃する。
彼らはここに上陸すると、武器を手にして戦うことも矢を射込むこともせず、ただ、アッラーの他に神はない!
アッラーは偉大なり!
と叫ぶだけであるが、それによって町の一角はくずれ落ちるであろう」と言われた。
このハディースに関連し、口述者の一人サウルは、次のように述べている。
「私は、み使いがこう言われるのを聞いた。
『海に面した二角がくずれおちる。
次いで、彼らは二度目にアッラーの他に神はない!
アッラーは偉大なり!
と叫ぶ。
するとまた、別の一角がくずれおちる。
更に彼らは、三度目に、アッラーの他に神はない!
アッラーは偉大なり!
と叫ぶ。
するとそれによって門が開かれる。
彼らは中に入り戦利品を集めて仲間同士でそれを分配し合う。
しかし、この時、「ダッジャールが現われた」と言う叫び声を聞く。
そのため、彼らはここに全てを残したまま、ダッジャールと戦うため帰途につくのである。』」
(注)イスラーイールの民(バヌー・イスハーク)と記されるが、アラブの民(バヌー・イスマーイール)の意味であろう
前記と同内容のハディースは、サウル・ビン・ザイド・デブリーによっても別の伝承者経路で伝えられている。
イブン・ウマルは伝えている
預言者は言われた。
「あなたたちは、ユダヤ人たちと戦い彼らを殺すが、その時には、岩石ですらも、
『ムスリムよ、きなさい!
ここに、ユダヤ人が隠れている。
殺しなさい!』言うであろう」
前記と同内容のハディースは、ウバイドッラーによっても別の伝承者経路で伝えられるが、これには「私の背後にユダヤ人がいる」との言葉が記されている。
アブドッラー・ビン・ウマルは伝えている
アッラーのみ使いは言われた。
「あなたたちとユダヤ人たちは相戦うが、その時には石すらも
『ムスリムよ、私の背後にユダヤ人がいる。来て殺せ!』と告げるであろう」
アブドッラー・ビン・ウマルは伝えている
アッラーのみ使いは言われた。
「ユダヤ人たちがあなたたちと戦うが、あなたたちは勝利を得る。
その戦いの時には、石すらも『ムスリムよ! 私のうしろにはユダヤ人がいる。
彼を殺せ』と告げるであろう」
アブー・フライラは伝えている
アッラーのみ使いは言われた。
「“最後の時” は、ムスリムたちがユダヤ人たちと戦い彼らを殺した後に起る。
その戦いの折には、ユダヤ人たちは石や木の背後に隠れるが、その石や木すらも『ムスリムよ! アッラーのしもべよ! ユダヤ人が一人私のうしろにいる。
来て彼を殺しなさい』と告げるであろう。
ただし、ガルカドの木(注)はなにも告げない。
なぜならそれはユダヤ人の木だからである」
(注)バイト・ル・マクデス(エルサレム)近郊に自生するとげの木
ジャービル・ビン・サムラは伝えている
アッラーのみ使いは「“最後の時”が目前に迫る頃には、嘘言者が多くなる」と言われた。
これに関連し、アブー・アフワスは次のように語った。
「私は、ジャービルに『み使いから直接聞いたのですか』とたずねた。
すると、彼は『そうです』と答えた」
前記と同内容のハディースは、シマークによっても別の伝承者経路で伝えられるが、それには次の言葉もシマークの言葉として付記されている。
「ジャービルは、『彼ら(ダヤ人たち)に気をつけよ』と私の兄弟に語っていた」
アブー・フライラは伝えている
預言者は言われた。
「“最後の時”が迫る頃、30人ほどの詐欺師(ダッジャール)や嘘つきが現われる。
そして、彼らは、それぞれ『私は、アッラーのみ使いである』と主張する」
アブー・フライラによる前記と同内容のハディースは別の伝承者経路でも伝えられている