コンスタンチノーブルの開城について
3巻 P.739-740
アブー・フライラは伝えている
アッラーのみ使いは言われた。
「“最後の時”は、ローマ人たちがアウマーク、もしくは、ダービク(注)に上陸するまで、起ることはないであろう。
その当時の地上で最良の兵から成る軍隊が彼らを迎えうつためにマディーナを出発する。
戦列を整えるとローマ人たちは、『我々と我々の中から捕虜を捕える敵(ムスリム)との間を狭めよ。
彼らと戦おう』と言う。
一方、ムスリムたちも『アッラーに誓って!
我々は決して退かずに戦う』と言う。
しかし、戦いが始まると、程なく、軍隊の三分の一の兵は逃げ去ってしまう。
このような彼らを、アッラーは決してお許しにならないであろう。
別の三分の一は戦死するが、彼らはアッラーの目からみても優れた殉教者である。
残りの三分の一は戦傷を負うこともなく勝利し、コンスタンチノーブルを占領する。
彼らが、剣をオリーブの木にかけ、戦利品を分配している時、シャイターン(悪魔)が大声をあげて「ダッジャール(偽救世主)が、お前たちの家族の住む土地をのっとったぞ」と叫ぶ。
それで、人々は彼と戦うため出発するが、すでに遅すぎ徒労に終る。
彼らがシリアに進んだ時、ダッジャールが現われるが、この時には彼らはまだ戦闘の準備中で、戦列を整えているところである。
礼拝の時がくると、マリヤムの息子イーサー(イエス)が天より下り聞いて礼拝の先導をする。
アッラーの敵はイエスを見ると、丁度、塩が水で溶けるように消え去ってしまう。
イエスが、彼をそのまま放置しておいたとしても滅び消え去るであろう。
しかし、アッラーは、彼を、イエスの手で殺させる。
イエスは槍についた彼の血を人々に示す」
(注)アウマーク、ダービク共々マディーナ近郊の地名。
別説では、シリアのアレッポ近郊の村落名とも言われる