死者が天国や地獄を見ることについて
3巻 P.719-723
イブン・ウマルは伝えている
アッラーのみ使いは言われた。
「もしも、誰かが死ぬと、彼は来世における居場所を、朝と夜、示される。
もし、彼が天国に入る者であれば、天国の住民によってその場所は示されるし、もし、彼が地獄に入る者であれば、地獄の住民によって示される。
彼は、その時、『これが、お前の居場所である。
アッラーは、復活の日に、ここにお前を送るであろうとお告げになる』と知らされる」
イブン・ウマルは伝えている
預言者は言われた。
「人が死ぬと、彼は、朝晩、彼の座り場所を示される。
もし、彼が、天国に入る者であれば、それは天国で示され、もし彼が地獄に入る者であれば、それは、地獄で示される。
その後、彼は、『そこが、復活の日にお前が送られる場所である』と告げられる」
アブー・サイード・フドリーは伝えている
次のハディースは、サイド・ビン・サービトが預言者から聞いて私に語ったものである。
預言者が、ナッジャール族の住居地に騾馬に乗って行かれた時、私たちもご一緒した。
預言者は、坂道の処で騾馬から落ちそうになられたが、そこには、六つ、五つ、四つほど墓があった。
み使いはこの時、「誰か、これらの墓に埋葬された人々について知らないか」と言われた。
或る男が「私は知っています」と答えると、預言者は「彼らは、いつ死んだのか」と言われた。
彼が「多神教の時代に死にました」と答えると、み使いは「この人たちは墓の中で厳しい試練を受けている。
もしも、あなたたちが、墓中で行なわれる責苦を聞くのを恐れる余りに、墓中に遺体を埋めるのを中止するようなことがないならば、私は、アッラーに祈願して、あなたたちにも、私が聞いているような墓でのその責苦の様子を伝える声を聞かせたい」と言われた。
そして、この後、私たちにお顔をむけ「地獄の責苦から守ってくれるようアッラーに願いなさい」と言われた。
私たちが「我らを地獄の責苦から守るようアッラーに祈願します」と唱えると、み使いは「墓での責苦から守ってくれるようアッラーに祈願しなさい」と言われた。
それに対しても私たちは「我らを墓での責苦から守るようアッラーに祈願します」と唱えた。
更に、み使いは「アッラーに対し目に見える災い、また、目に見えない災いから守って下さるよう祈りなさい」と言われた。
私たちは、それにも「アッラーよ、我らを目に見える災い、また、見えない災いからお守り下さい」と祈った。
み使いは、更にまた、「アッラーにダッジャール(偽救世主)のもたらす災いから守るよう祈りなさい」と言われた。
私たちはこれにも「アッラーよ、ダッジャールのもたらす災いから我らをお守り下さい」と祈った。
アナスは伝えている
預言者は言われた。
「もしも、あなたたちが、墓に遺体を埋葬しなくなるのでなければ、あなたたちにも、墓での責苦の様子を聞かせるよう、私は、アッラーに祈願するであろう」
アブー・アイユーブは伝えている
アッラーのみ使いは、太陽が沈んだ後、外に出て行かれたが、その時或る物音を耳にされ「あれは、墓の中で責苦を受けるユダヤ人の声である」言われた。
アナス・ビン・マーリクは伝えている
アッラーの預言者は言われた。
「死んだしもべが墓に埋葬され、その教友らが家に帰ってしまった時、そのしもべは足音を耳にする。
そのあと、二人の天使が来てしもべを座らせ、『あの男(預言者)についてなんと呼ぶのか』とたずねる。
もし信者であれば、しもベは『彼はアッラーのしもべであり、アッラーの使徒であることを証言します』と答える。
その後、しもべは『地獄でのお前の座席を見なさい。
アッラーは、天国にもお前の座席を用意なさっておられる』と告げられる。
そのため、しもべは両方の座席を見ることになる。」
これに関連し、カターダは「信者の墓は、70腕尺ほども拡張され緑に覆われる。
信者は復活の日まで、そこで過すことになっている」と述べている。
アナス・ビン・マーリクは伝えている
アッラーのみ使いは言われた。
「墓に安置され、埋葬に参列した人々がそこを去ってしまった時、死者は靴音を聞くであろう」
アナス・ビン・マーリクは伝えている
アッラーの預言者は言われた。
「しもべが、墓に安置され、教友らがそこを離れて帰って行った時。」
以下は、前記ハディースと同内容である。
バラーウ・ビン・アーズィブは伝えている
預言者は言われた。
「聖句『アッラーは、堅固な(地歩に立つ)御言葉で、信仰する者たちを立たせられる』(クルアーン第14章27節)は、墓での試練に関連して啓示されたものである。
死者は『お前の主は誰か』と問われるが、その時、彼は『アッラーが私の主であり、ムハンマドは私の預言者です』と答えることだろう。
これが『アッラーは、現世の生活においても、また、来世でも、堅固な(地歩に立つ)御言葉で、信仰する者たちを立たせられる』と言う聖句の意味である」
バラーウ・ビン・アーズィブは伝えている
聖句「アッラーは現世の生活においても、また、来世でも、堅固な(地歩に立つ)御言葉で、信仰する者たちを立たせられる」(第14章27節)は、墓での試練に関連して啓示されたものである。
アブー・フライラは伝えている
死者の魂がその肉体を離れた時、二人の天使がそれを受け取り、天に運ぶ。
(伝承口述者の一人ハンマードは、これに関連し、「その魂は、じゃこうにも似たよい香りを放つ」と述べている)
天の住人たちは、「地上の方角から敬虔な魂がやって聞いた。
アッラーが、彼の魂とそれが宿った肉体に加護を給わらんことを!」と述べる。
その魂は、主の許に連れてゆかれるが、主は、その折「最後に行き着くべき処に連れてゆくように」と言われる。
もし、不信仰者の魂(これに関してもハンマードは、「その魂は、呪われ悪臭を放つ」と述べている)が、肉体を離れると、天の住民たちは、「地上の方角から不潔な魂がやって聞いた」と述べる。
ともあれ、アッラーは「彼の魂を、最後に行き着くべき処に連れてゆくように」と言われる。
なお、アブー・フライラは、この話に関連し「み使いは、不信仰者の魂の発する悪臭について言及された時、鼻を薄い布でお覆いになった」とも伝.えている。
アナス・ビン・マーリクは伝えている
ウマルと一緒にマッカとマディーナの間にいた時、私たちは新月が現われるのを捜し始めた。
視力が良かったために私には新月が見えたが、私以外には誰もそれを見ることがで聞いた者はいなかった。
私は、ウマルに「見えましたか」とたずねたが、彼にはまだ見ることができなかった。
ウマルは、この時、「すぐに見えるようになるだろう」と言った。
その後、私は、ベッドに横になったが、ウマルは、その折、バドルの戦役に参加した人々について、次のように話してくれた。
「アッラーのみ使いは、実際の戦闘が行なわれる前日、このバドルの戦役に参加した人々の死に場所を我々に示し、『ここは、明日、アッラーの御意志により、某々らの死に場所となるであろう』と言われた」
ウマルは、つづいて次のように語った。
「真理を託された彼を送った御方に誓って!
み使いが示されたその場所は、実際、彼らの死に場所となったのである。
彼らの遺体は全て次々と丼戸の中に入れられた。
み使いは、その後井戸の近く行き、
『おお!
誰某の息子よ!
誰某の息子の誰某よ!
あなたたちには、アッラーとその使徒の約束が正しかったことがわかりましたか。
私には、アッラーが私に約束したことが本当に真実であったとわかりました』と言われた。
ウマルが、その時、『み使い様、魂のない彼らの遺体にどうしてお話しになるのですか』と聞くと、
それに対しみ使いは『私が彼らに話したことの意味は、あなたたちには彼らほどには理解できないであろう。
ただ、彼らにはなにも答えることはできないのではあるが』と言われた」
アナス・ビン・マーリクは伝えている
アッラーのみ使いは、バドルで戦った不信仰者らの遺体を三日間放置させ、その後、そこに来て、遺体の側に立って彼らの名を呼び、次のように言われた。
「アブー・ジャフル・ビン・ヒン・ヒシャームよ、ウマイヤ・ビン・ハラフよ、ウトバ・ビン・ラビーアよ、シャイバ・ビン・ラビーアよ、お前たちは、主の約束が真実であることが理解で聞いたか。
私に関していえば、主の私に対する約束が全て真実であることがよく理解で聞いた」
ウマルは、預言者のこの言葉を聞き、「み使い様、彼らが、どうしてあなたの声を聞き、答えると言うのですか。
彼らは死に腐敗してしまったと言うのに」と言った。
み使いはこの折、「私の生命を御手になさる方に誓って!
私が彼らに言った言葉の意味は、あなたでさえも、彼ら以上には理解できないでしょう。
ただ、彼らには、返事をする力はありませんが」と言われた。
その後、み使いは、彼らの遺体を引っ張って行き、バドルの井戸に埋めるようにとお命じになった。
アブー・タルハは伝えている
バドルの戦いの日、アッラーの預言者は、マッカ軍に対して勝利を得た。
この折、預言者は20名以上(別のハディースによれば、24名)のクライシュ族の不信仰者らの遺体を、バドルの井戸の一つに投げ入れるようお命じになった。
以下は、前記ハディースと同内容である。