高慢な者は地獄に、謙虚な者は天国に入ることについて
3巻 P.708-714
アブー・フライラは伝えている
アッラーのみ使いは言われた。
「地獄と天国の間で論議が行なわれ、地獄は『高慢な者や、偉張る者を私の処に入れよ』と主張し、天国は『弱者や謙虚な者は、私の処に入れよ』と言った。
アッラーは、この時、地獄に対し『お前は、私に代る懲罰役である。
お前によって、私がそうしたいと思う者らは罰せられるであろう』と言われた。
また、天国に対しては、『お前は、私に代る慈悲役である。お前によって、私がそうしたいと願う者らは慈悲を与えられるであろう。
お前たち相方の場所は(そのような者たちで)満員になるであろう』と言われた」
アブー・フライラは伝えている
預言者は言われた。
「地獄と天国が議論していた。
地獄は『高慢者や偉張る者を私は選んでいる』と言い、天国は『弱者やしいたげられた者、困窮者らのみが私の所に入ってくるが、これは一体どうしてなのか』と言った。
アッラーはこの時、天国に『お前は、私に代る慈悲役である。
お前によって、しもべらの中で、私がそうしたいと思う者らに慈悲が与えられる』と言われた。
地獄に対しては『お前は、私に代る懲罰役である。
お前によって、しもべらの中で、私がそうしたいと願う者らは罰せられる。
お前たち相方の場所は(そのような者たちで)満員となるであろう。』と言われた。
ただ、地獄は、アッラーがその御足をお入れになる時まで満月にはならない。
その時、地獄は『十分です。十分です』と言うのであるが、アッラーは一方の者たちを他方に移して地獄を満員になさるのである」
アブー・フライラによる前記と同内容のハディースは、別の伝承者経路でも伝えられている。
ハンマーム・ビン・ムナッビフは伝えている
アブー・フライラはアッラーのみ使いのハディースを数多く伝えたが、次のハディースもその一つである。
アッラーのみ使いは言われた。
「地獄と天国とが議論した。
地獄は『高慢者や、偉ぶる者を私は選ぶ』と言い、天国は『弱者や、しいたげられた者、見捨てられたみじめな者たちが私の処に入ってくるが、これは一体どうしたことなのか』と言った。
この時、アッラーは、 天国に対し、『お前は、私に代る慈悲役である。
私が望むしもべらにはお前を通じて私よりの慈悲を与えるであろう』と言われる。
地獄に対しては、『お前は、私に代る懲罰役である。
私は、しもべの中で私がそうしたいと願う者をお前を通じて罰するであろう』と言われ、更に、『お前たち相方の場所は、(それらの者たちで)満員になるであろう』とお告げになる。
地獄は、アッラーが足を入れてみる時、『十分です。十分です。十分です』と叫ぶのであるが、アッラーにより片側の者らは他方に寄せられ満員にされるのである。
アッラーは御自身の創造物の誰をも不公正には扱われない。
アッラーは、天国に入れる ため、また、新たに創造物をお創りになるであろう」
アブー・サイード・フドリーによる前記と同内容のハディースは、別の伝承者経路でも伝えられるが、それには「アッラーは、『私にとって お前たち両方の場所を満員にすることは必要なことである』と言われた」と言う言葉も記されている。
アナス・ビン・マーリクは伝えている
アッラーの預言者は言われた。
「地獄は、絶えず『まだ、大勢いるのですか』とたずね、主が、そこに御足を入れると、『あなたの名誉にかけて!
もう十分です。もう十分です』と叫ぶであろう。
しかし(主は)人々の一部を別の側に移して地獄を満員になさる」
アナスによる前記と同内容のハディースは、別の伝承者経路でも伝えられている。
ムハンマド・ビン・アブドッラー・ルッズィーは伝えている
アブドル・ワッハーブ・ビン・アターウは、アッラーの御言葉、「その日われ(アッラー)が地獄に「満員になったか」と問うと、「なお多くの入る者がおりますか」と答える」(クルアーン第50章30節)に関連するアナス・ビン・マーリクによるハディースをこう伝えている。
預言者は言われた。
「罪人が、その中に投げ込まれる地獄は、『なお、多くの入る者がおりますか』と言いつづける。
主は、地獄に足を置かれ、その中の一部を他の側に動かされるが、その時、地獄は『あなたの名誉と寛大きに誓って!
十分です。十分です。』と叫ぶであろう。
天国にはまだ十分余地があるので、アッラーは新しく人々をお創りになり、彼らを天国のその余った場所にお住まわせになることであろう」
アナスは伝えている
預言者は言われた。
「天国には、アッラーがそう望まれたために、余分の場所が残されている。
アッラーは、そこに入れるために、別の創造物をお創りになる」
アブー・サイードは伝えている
アッラーのみ使いは言われた。
「復活の日、死は、白色の雄羊の姿で連れて来られ、天国と地獄の間で起立させられる。
その後、天国の住民たちは、『これを知っているか』と聞かれる。
彼らは、頭をあげて、声のする方を見、『はい、これは“死”です』と答える。
その後、地獄に住む人たちも『これを知っているか』と聞かれる。
彼らは、頭をあげて、声のする方を見、『はい、これは“死”です』と答える。
その後、それを屠殺するようにとの命令が下される。
そして後、天国の住民たちは、『お前たちには永遠の生が許される。
死ぬことはない』と告げられる。
次いで、地獄の住民たちも『お前たちには、永遠の生が許される。死ぬことはない』と告げられる」
こう話した後、み使いは手でこの現世を指さしながら、次の聖句をお唱えになった。
「あなたは悔恨の日(復活の日)について、かれらに警告しなさい。
その時、事は決定されるのである。
かれらが油断し、また不信心である間に」(クルアーン第19章39節)
アブー・サイードは伝えている
アッラーのみ使いは言われた。
「天国に住む者が天国に入れられ、地獄に住む者が地獄に入れられた時、天国に入る者らは、次のように告げられる。」
以下は前記と同内容であるが、表現上に幾つかの異同がみられる。
アブドッラーは伝えている
アッラーのみ使いは言われた。
「アッラーは天国に入るべき者らを天国に入らしめ、地獄に入るべき者らを地獄に入らしめた。
その後、告知役の者が、彼らの間に立って、『天国の住民たちよ、お前たちには“死”はない。
地獄の住民たちよ、お前たちには“死”はない。
お前たち全ての者は、そこで永遠に過すことだろう』と告げる」
アブドッラー・ビン・ウマルは伝えている
アッラーのみ使いは言われた。
「天国に住むべき者らが天国に行き、地獄に入るべき者らが地獄に行く時、“死”が連れ出されて、天国と地獄の間に立たされるが、その後、屠殺される。
そのあと、告知役の者が、『天国の住民よ、死はない。地獄の住民よ、死はない』と知らせる。
これによって、天国の住民たちの喜びは増し、地獄の住民たちの悲しみは増すのである」
アブー・フライラは伝えている
アッラーのみ使いは言われた。
「不信仰者の臼歯、または、不信仰者の犬歯は、ウフド山のように強く固い。
また、彼の身体の皮の厚さは、三日間の旅の困苦にも耐えられるほどである(注)」
(注)不信仰者らは、それ放、地獄では長い責苦を負うことであろうの意
アブー・フライラは伝えている
アッラーのみ使いは言われた。
「地獄では、不信仰者の両肩の幅の長さは、速足の乗り物による三日間の旅程ほどにもなるであろう(注)」
(注)それだけ長く業火に焼かれ苦しむことになるの意
ハーリサ・ビン・ワフブは伝えている
預言者は、「天国の住民について話をしてあげようか」と言われ、人々が「はい」と答えると、次のように言われた。
「謙虚であるとみられている人ら全てが、もしもアッラーの御名によって祈願するならば、アッラーは必らずやそれをお聞き入れになる。」
その後、み使いは、また「地獄の住民について話をしてあげようか」と言われ、人々が、「はい」と答えると、次のように言われた。
「彼らは全て、高慢で太った体格をしており威張り屋である」
前記と同内容のハディースは、シュウバによっても別の伝承者経路で伝えられている。
ハーリサ・ビン・ワフブ・フザーイは伝えている
アッラーのみ使いは言われた。
「天国の住民について、話をしましょうか。
謙虚で温和な人たちが全て、もしも、アッラーに祈願をすれば、アッラーはそれを必ず受入れるでしょう。
地獄の住民たちについて話しましょうか。
彼らは全て高慢で卑しく威張り屋です」
アブー・フライラは伝えている
アッラーのみ使いは言われた。
「ぎんばら髪をした者らの多くは(物乞いをしても)家々の門から追い出されるが、(彼らは敬虔である故)もし、彼らがアッラーの御名によって祈願すれば、アッラーは、それを必ず受入れて下さるであろう」
アブドッラー・ビン・ザムアは伝えている
アッラーのみ使いは、説教の折、雌ラクダのことに言及して、その膝の腱を切った男の話をなさり、聖句「彼らの中の最も邪悪の者が(不信心のため)立ち上った時、」(クルアーン第91章12節)をお唱えになった。
そのあと「その立ち上った男は、力はあるが悪徳者で、アブー・サムアのように有力な家系の者であった」と言われた。
み使いは、更に、女性についても説教なさり、「あなたたちの中に自分の妻を打つ者はいませんか。
夜にはベッドで彼女と添い寝すると言うのに」と言われた。
(み使いのこの言葉に関し、アブー・バクルは、「奴隷女を打つように」、アブー・クライブは「奴隷を打つように」と言う表現を付している。)
そのあと、み使いは、誰かが放屁をした時の人々の笑いに関して、「自分でもすることをどうして笑うのか」と言われた。
アブー・フライラは伝えている
アッラーのみ使いは言われた。
「私は、バニー・カウブの父、アムル・ビン・ルハ言い・ビン・カマア・ビン・ヒンデフが、地獄で自分の腸をひきずっているのをみた」
サイード・ビン・ムサイヤブは語っている
偶像に捧げる時以外には、搾乳されないたれ耳の雌ラクダはバヒーラと呼ばれている。
人々は(今でも)これらからは、乳を絞らない。
また、サーイバと呼ばれる雌ラクダは神々に捧げられているため、自由に放置され、物を運ぶなどの労働には使役されない。
イブン・ムサイヤブは、これに関連し、アブー・フライラの語ったハディースを次のように伝えている。
「アッラーのみ使いは、『私はアムル・ビン・アーミル・フザー言いが、地獄で彼自身の腸をひきずっているのをみた。
彼は、最初に、雌ラクダを偶像神に捧げた男であった。』と言われた」
アブー・フライラは伝えている
アッラーのみ使いは言われた。
「地獄の住民には、二つの特徴がある。
その一つは、彼らが雄牛の尾のような鞭を持ち、それで人々に体罰を加えることである。
第二は、女たちはなにも身につけず裸身で、ラクダの瘤の様に髪を高目に結び、男を誘惑していることで、このような女たちは天国には入れない。
また、天国の香りすらも、しかじかの遠い距離までただようにも関わらず、嗅ぐことはできない」
アブー・フライラは伝えている
アッラーのみ使いは言われた。
「もしも、なおしばらく生きながらえるならば、あなたは必ずや雄牛の尾のような鞭を手にした人々を見ることだろう。
彼らはアッラーの憤怒の下に朝を迎え、アッラーの憤怒の下に夕べを迎える者たちである」
アブー・フライラは伝えている
アッラーのみ使いは言われた。
「もしも、もうしばらくの間、生聞いているならば、あなたは、アッラーに憤られながら朝を迎え、アッラーに呪われながら、夕方を迎える人々を見るであろう。
彼らは、雄牛の尾のようなものを手に持っているであろう」