アーイシャ(注)の美徳
(注)彼女は預言者の第三番の若妻でアブー・バクルの娘である。
彼女は預言者が結婚した妻達のうちで唯一人の処女であった。
この結婚は親友アブー・バクルとの絆を一層強くし、この感覚の鋭い利□な若妻をして預言者の私生活全般と人となりを語らしめて後世に伝えることになった。
また若い世代に対してイスラームの教えを伝えて理解せしめる結果をも生み出したと言えよう
3巻 P.420-426
アーイシャはアッラーの使徒の言葉として次のように伝えている
私は三日間、夢の中であなたを見せられた。
つまリ絹の衣をまとったあなたを天使が私のところに連れて来て「これがあなたの妻である」と言った。
そこで私はあなたの顔からべールを剥がした。
何とそれはあなた自身であった。
そこで私は次のように言った。
もしこれがアッラーのおぼしめしであるのならばアッラーをしてそうなさしめたまえ。
同様のハディースがヒシャームによって別の伝承者経路を経て伝えられている。
アーイシャは次のように伝えている
アッラーの使徒は私に「私はあなたが私に満足しているときと、私に怒っているときとが分かります」と言った。
そこで私は「どこからそれが分かりますか?」と尋ねた。
すると彼は次のように答えた。
あなたが私に満足しているときは、あなたは「いいえ、ムハンマドの主に誓って」と言います。
また私に怒っているときは「いいえ、イブラヒームの主に誓って」と言います。
それで私(アーイシャ)は「その通りで。
アッラーの使徒よ。
実際私は(私があなたに怒っているときは)あなたの名前をさし控えます」と言った。
同様のハディースがヒシャーム・ビン・ウルワよって別の伝承者経路を経て「いいえ、イブラヒームの主に誓って」まで伝えている。
しかしここではそれ以下は伝えていない。
アーイシャは次のように伝えている
彼女がアッラーの使徒の前で娘達(人形)と遊んでいた。
そのときのことを彼女はこう伝えた。
そして私の友達が私のところに来たとき、彼女達はアッラーの使徒に恥ずかしがっていた。
そこでアッラーの使徒は彼女達を私の所へ気ままに行かせたのでした。
同様のハディースがヒシャーム・ビン・ウルワによって別の伝承者経路を経て伝えられている。
しかしここでは伝承者の一人ジャリールのハディースに次のようにある
私は彼(預言者)の家で娘達と遊んでいた。
それ(娘達)は人形のことです。
アーイシャは次のように伝えている
人々はアーイシャの順番の日(注)に(預言者に)彼らの贈り物をした。
それによって彼らはアッラーの使徒が(より多く)喜ばれることを望んでいたのです。
(注)預言者の複数の妻のうちでアーイシャを彼が訪れることになっている日の意
預言者の妻アーイシャは次のように伝えている
預言者の妻達はアッラーの使徒の娘であるファーティマをアッラーの使徒へ使いとして送った。
そして彼女は彼に面会の許可を求めた。
そのとき彼は私のマントの中で私と一緒に横になっていたが、彼は彼女に許可を与えた。
そこで彼女は次のように言った。
アッラーの使徒よ、あなたの妻達はアブー・クハーファの娘(アブー・バクルの娘、つまりアーイシャのこと)との間に公平さを求めて(注)私をあなたのもとに送りました。
そのとき私は黙っていました。
するとアッラーの使徒はファーティマにこう言った。
「娘よ、あなたは私が好きなものをあなたも好きではあリませんか?」
すると彼女は「そうです」と答えた。
そこで彼は「私が愛するのはこの者です」と言った。
そこでファーティマはアッラーの使徒からそれを聞いたとき、立ち上がり預言者の妻達の所へ戻り、彼女が(預言者に)言ったことと彼が彼女に言ったこととを彼女達に伝えた。
すると彼女達はこう言った。
「私達はあなたが私達の役に立たなかったと思います。
アッラーの使徒のところにもう一度戻り、あなたの妻達はあなたにアブー・クハーファの娘(アーイシャ)との間に公平さを求めていると言いなさい。」
するとファーティマは「アッラーに誓って、私はそのことに関して彼に決して話しません」と言った。
さてアーイシャはさらにつづけてこう伝えている。
そこで預言者の妻達はやはり預言者の妻の一人のジャハシュの娘ザイナブを(代表として)送った。
彼女は彼女達の中でもアッラーの使徒のもとでいくらか私に匹敵する高い位置に評価されていた。
実際私は宗教においてザイナブよりも素晴しい女性を見たことがありません。
彼女はアッラーに対して誰よりも畏怖の念を抱き、誰よりも真実を語り、誰よりも親族に親切であり、よくサダカ(施し)を行ない、アッラーの名のもとに捧げつくし、アッラーに近づくために行う行為には誰れよりも厳しい自己犠牲を捧げる人でした。
ただ彼女には短気な性格があった。
しかしその場合でもすぐに彼女は平静を取り戻した。
こうして彼女(ザイナブ)はアッラーの使徒に面会の許可を求めた。
そのときアッラーの使徒はアーイシャと一緒に彼女のマントの中にいた。
それはちょうどファーティマが彼を訪ねてきたときと同じ状態であった。
それでアッラーの使徒は彼女に許可を与えた。
そして彼女はこう言った。
「アッラーの使徒よ、あなたの妻達はアブー・クハーファの娘との間に公平さを求めるために私をあなたのもとに送りました」
それから彼女は私に悪口を言い、私に対して高圧的になった。
その間私はアッラーの使徒の方を見守っていた。
私は彼がそのことで私をゆるすかどうか彼の目を見ていた。
そして私が言い返すことをアッラーの使徒が嫌っていないと分かるまでザイナブはそれを止めなかった。
そして私が彼女に悪口を言ったときには反対に彼女がおとなしくなるまで私はひるまなかった。
するとアッラーの使徒は微笑みながらこう言った。
「まさに彼女はアブー・バクルの娘だ」
同様のハディースがズフリーによって別の伝承者経路を経て伝えられている。
しかしここでは「そして私が彼女に悪口を言ったとき、私は彼女を封じ込めてやっつけることで手をゆるめなかった」とある。
(注)待遇改善というよリ愛情の平等を要求した意味である
アーイシャは次のように伝えている
アッラーの使徒は(病床にふしているとき)次のように尋ねました。
「今日は、私はどこにいるのですか?
明日は私はどこですか?」
それはアーイシャの順番の日は遠いといった口振りでした。
そして私の日が来たとき、アッラーは彼の魂を奪った。
そのとき彼は私の胸と首との間に頭を置いていた。
アーイシャは次のように伝えている
彼女はアッラーの使徒が死ぬ前に口にした言葉を聞いた。
そのとき彼は彼女の胸元にもたれかかっていた。
そして彼女は彼が言っている次の言葉に注意深く耳を傾けていた。
アッラーよ、私をお赦し下さい。
また、私に慈悲をおかけ下さい。
また私を仲間達(注)と一緒にさせて下さい。
(注)彼に先行した諸預言者の意
同様のハディースがヒシャームによって別の伝承者経路を経て伝えられている。
アーイシャは次のように伝えている
私は「預言者は現世と来世の間の選択を与えられるまで決して死なない」と聞いていた。
また私は預言者がそれで死ぬことになった(最後の)病気になったとき、彼がかすれた声で次のように言っているところを聞いた。
「それでそうした者達はアッラーが恩恵を施された預言者達、誠実な者達、殉教者達や有徳者違の仲間となろう。
(さても)これらの者達は何と立派な仲間であることよ」(第4章69節)。
それで私はそのときに彼が選択を与えられていると考えた(注)。
(注)それで彼がこれらの敬虔な人々とともに天国で生きること(死)を選んだことか分かったの意
同様のハディースがサアドによって別の伝承者経路を経て伝えられている。
預言者の妻アーイシャは次のように伝えている
アッラーの使徒は健康なときから、いつも次のように言っていた。
預言者は天国の自分の場所を見せられて選択が与えられるまで、決して魂を抜かれない。
そしてアーイシャはさらに次のように伝えた。
アッラーの使徒に死期が近づいたとき、彼の頭は私の太腿の上にあり、彼はしばらく気を失い、それから意識をとり戻し、彼は天井をみつめた。
そして彼はこう言った。
アッラーよ、(私を)最上の仲間(と一緒にして下さい)。
(これを聞いて)私は「つまり、彼はもはや私達を選ぼうとしていない」とつぶやいた。
さらにアーイシャは次のように伝えている。
私は(そのとき)彼が元気なときいつも私達に話していた次のような言葉を思い起した。
預言者は天国での自分の場所を見せられ、選択が与えられるまで決して魂を抜かれない。
さらにまたアーイシャは次のように言った。
アッラーの使徒が口にした最後の言葉「アッラーよ、どうか最上の仲間と一緒に」であった。
アーイシャは次のように伝えている
アッラーの使徒が旅に出たとき、彼は妻達の間で(同伴する妻を)くじ引きで決めてそのくじがアーイシャとハフサ(注)に当たリ、それで二人とも彼と一緒に出かけた。
そして夜になったとき、アッラーの使徒はアーイシャと一緒に(彼女のラクダに乗って)旅をして彼女と話していた。
そこでハフサがアーイシャにこう言った。
「今夜は私のラクダにあなたが乗り、あなたのラクダに私が乗り、それであなたが(普段見ないものを)見て、私も(普段見ないものを)見ることになりませんか?」
すると彼女(アーイシャ)は「ええ、そうしましょう」と言った。
そしてアーイシャがハフサのラクダに乗り、ハフサがアーイシャのラクダに乗った。
そこにアッラーの使徒がハフサが乗っているアーイシャのラクダに近寄り挨拶をして、それから彼は彼女と一緒にラクダに乗って二人が到着するまで旅をつづけた。
そこでアーイシャは彼との同伴の機会を失い嫉妬していた。
そして二人が到着したとき、彼女は片足を草むらの中に入れてこう言った。
「主よ、私をばさそりが刺すか蛇に咬ませるかして下さいませ。
あなたの使徒の彼には私は何も言えませんので」
(注)第二代力リフとなったウマルの娘で夫の死後、預言者の妻の一人となった
アナス・ビン・マーリクはアッラーの使徒の言葉として次のように伝えている
他の妻達に比べてアーイシャの素晴しさは、他の料理に比べたサリードの素晴しさのようなものである。
同様のハディースがアナス・ビン・マーリクによって別の伝承者経路を経て伝えられている。
アーイシャは次のように伝えている
預言者は彼女に「ジブリールがあなたに挨拶しています」と言った。
そこで私は「彼にこそ平安とアッラーの慈悲がありますように」と応えた。
同様のハディースがアーイシャによって別の伝承者経路を経て伝えられている。
同様のハディースがザカリヤーによって伝えられている。
預言者の妻アーイシャは次のように伝えている
預言者は「アーイシャよ、ここでジブリールがあなたに挨拶しています」と言った。
そこで私は「彼の上にこそ平安とアッラーの慈悲がありますように」と応えた。
そして彼女は次のように付け加えた。
「そのとき彼は私には見えないものを見ていた」