ユダヤ人の天性の悪魔カアブ・ビン・アシュラフの暗殺
2巻 P.843-845
ジャービルは次のように伝えている
アッラーの使徒は次のようにいった。
誰れがカアブ・ビン・アシュラフを殺しますか?
彼はアッラーとアッラーの使徒に実に有害でした。
そこでムハンマド・ビン・マスラマが「アッラーの使徒よ、私が彼を殺すことをお望みですか?」といった。
すると預言者は「勿論です」と答えた。
だがイブン・マスラマはさらにこういった。
でも(事をうまく運ぶために)私にいいたいことをいわせて下さい。
すると預言者は「あなたの好きなようにいいなさい」と答えた。
さてイブン・マスラマは彼(カアブ)のところにやって来て二人の間の旧交について語った。
そして「あの男(預言者)は我々がサダカ(寄付金)を納めることを望み、我々は厳しい状況に置かれた」といった。
すると彼(カアブ)はこれを聞いてこういった。
アッラーに誓ってあなたもまた彼(預言者)によってもっと困難な目に会うだろう。
そこでイブン・マスラマは次のようにいった。
確かに、今私達は彼に従っています。
また我々は彼の事がどのようになるかを見届けるまでは彼を見捨てることは好んでいません。
ところで彼(イブン・マスラマ)は「私にお金を貸して欲しいと思っていたのですが」といった。
すると彼(カアブ)は「何を抵当にするのか?」といった。
それでイブン・マスラマは「何を望みますか?」といった。
するとカアブは「あなた達の妻を抵当にして欲しい」といった。
それでイブン・マスラマは「あなたはアラブ一の美男子なのに私達の妻を抵当にするのですか?」といった。
するとカアブは「ではあなた達の子供を抵当にして欲しい」といった。
それでイブン・マスラマはこういった。
(もしそのようにすれば)私達の息子は2ワスタのナツメヤシの実で抵当にされたといわれて罵られるでしょう。
ですから私達はあなたに武器を抵当にしましょう。
するとカアブは「それでよろしい」といった。
それからイブン・マスラマはハーリスとアブー・アブス・ビン・ジャブルとアッバード・ビン・ビシュルと一緒に彼(カアブ)の所に出向くことを約束した。
それで彼らはやって来た。そして夜間に彼を訪れた。
そこで彼は彼らのところに降りて来た。
ところで伝承者の一人スフヤーンはアムル以外の伝承者が次のように伝えたと述べた。
(そのとき)彼の妻は「私はあたかも人殺しの声のようなものを聞きました」といった。
すると彼は「ああ、それはムハンマド・ビン・マスラマと彼の乳兄弟のアブー・ナーイラだよ、紳士はもし夜間に槍で突かれるために呼ばれたとしてもそれに応じなければなるまい」といった。
さて一方、イブン・マスラマは(仲間に)こういった。
彼が来たら私は彼の頭に手を伸ばし、そして彼をしっかりと捕まえたならば、あなた達はしっかりやりなさい(やってしまえ)。
こうして彼(カアブ)が外套を脇にかかえて持って降りてきたとき彼らは彼に「あなたからとても芳しい匂がする」といった。
するとカアブは次のように説明した。
そのとおり、私はアラブの女性のうちでも最もかぐわしい香水をつける某女性と一緒にいますがそのせいですよ。
するとイブン・マスラマは「(頭上の)匂をかいでもよいですか?」といった。
するとカアブは「ええどうぞ、かいでみて下さい」といった。
そこでイブン・マスラマは(頭を)掴み匂をかいだ。
そしてそれから彼は「いま一度かいでもよろしいですか?」といった。
こうしてイブン・マスラマはしっかりと(カアブの頭を)掴み「さあしっかりかかれ!」といった。
このようにして彼らは彼を殺害した。