アムル・ビン・アバサのイスラームへの帰依について
1巻 P.565-567
アムル・ビン・アバサ・スラミーは伝えている
私はジャーヒリーヤ時代に人々は正道を誤って歩いていると考えていた。
彼等は偶像を崇拝し(正道と考えられるような)まともな生き方は何一つしていなかったのだ。
時に、私はマッカで(預言的知識に基づいて)情報を与える人物について耳にした。
そこで私はらくだに乗ってそのかたを尋ねた。
その頃アッラーのみ使いはその地の人々に厳しい仕打ちを受けていたので、身を隠しておいででした。
そこで、私は(マッカの人々に)友交的な態度をとることで(はじめて)そのかたの所に行きつくことが出来た。
私は彼に会って「あなたはどのような方なのですか」と言った。
彼は「私は預言者である」と言われました。
私は(再び)「預言者とはどのような者ですか」と尋ねた。
彼は「アッラーからそのみ使いとして送られた者である」と言われた。
私は「アッラーはどのような事柄であなたを(み使いとして)送られたのですか」と言った。
彼は「(アッラーは愛情や思いやりで)血族関係を強固にし、偶像を破壊し、そしてアッラーは唯一にして同位者は全く無いことを宣言するためである」と申された。
私は「それで、(それらのことを信じ)あなたと(行動を)共にしているのは誰ですか」と尋ねた。
彼は「一人の立派な市民と一人の奴隷である」と申された。
(彼〔伝承者〕は「その時み使と一緒にいた者はイスラームに帰依した人々の中のアブー・バクルとビラールであった」と言った)。
その時私はみ使いに「私はあなたについて参ります」と言った。
彼は「今はそのようにするわけには行かぬ。あなたは私や(私の)人々が厳しい状況下にあるのを知らないのですか。
あなたは御家族の許に帰って私の勝利を聞いたらお出になるとよい」と申された。
それで、私は私の家族の所に帰った。
私は色々の情報を得ようとして多くの人々を尋ねた。
この時、ヤスリブ(マディーナ)の人達のグループが私の所を訪れた。
私は(彼等に)「マディーナに来られた方はどうされましたか」と尋ねた。
彼等は「人々はその方の許に馳せ参じました。一方、彼の地の人々(マッカの多神教徒達)はみ使いを殺害しようと企てましたが果たせませんでした」と話した。
(この話を聞いた時)私はマディーナに行った。
そしてみ使いにお会いして「アッラーのみ使いよ、あなたは私を御存知ですか」と言った。
み使いは「存じている。あなたはマッカでお会いした方である」と申された。私は「その通りです」と言った。
つづけて「預言者よ、アッラーがあなたに教えられたことで私が知らないと思われることについてお話し下さい。礼拝についても是非」と言った。
そのかたは申された
「早朝の礼拝を挙行しなさい。
それから太陽が昇りきるまではそれを止めなさい。
それが昇る時は悪魔の角の間に昇って来るのです。
その刻、背信者達はそれに対してひれ伏すのです。
それから礼拝しなさい。
まこと、槍の影が(大地から)消えるまで(注)の礼拝は天使がそれを証明してくれるものです。
その後、礼拝を(再び)止めなさい。
その刻、地獄の業火は燃えさかっている最中です。
影が長くなってきたら礼拝しなさい。
アスルの前の礼拝は天使がそれを証明してくれます。
その後太陽が沈みきるまでは礼拝を止めなさい。
それは悪魔の角の間に沈みます。その刻、背信者達はそれに対してひれ伏すのです」
私は(次に)「預言者よ、沐浴のことについてお話し下さいませんでしょうか」と言った。
み使いは申しました
「あなた方誰でも沐浴に水を使用して口をすすぎ鼻孔を清潔にすれば、その者の顔、口、鼻孔の過ちが流し落されるのです。
それから、アッラーがお命じになったように顔を洗えばその者の顔の過ちはあご髭の先端から水と共に落ちます。
そして、両手で肘まで洗えば、その者の両手の過ちは指先から水と共に落ちます。
髪の毛をぬぐえば、その者の頭の過ちは頭髪の先端から水と共に落ちます。
両足をくるぶしまで洗えば、その過ちは指先から水と共に落ちます。
こうして彼は礼拝のために立ち、まことにそうすることがふさわしい、アッラーの栄光を讃美し称讃し奉るなら彼の過失は消え去って、彼の母が生んでくれた日の彼の肉体のように、全くけがれの無いものになりましょう」
アムル・ビン・アバサはこのハディースをアッラーのみ使いの親友アブー・ウマーマに話した。
アブー・ウマーマは「アムル・ビン・アバサよ、君は、一つの場所で(唯沐浴と礼拝するだけで)そのような(多大な報償が)与えられると言っているが(その言葉に責任をもてるのか)よく考えてみるがよい」と言った。
アムルは「アブー・ウマーマよ、私は既に歳をとってしまった。
私の骨は脆くなって死期もそう遠いことではあるまい。
(どうして今)私がアッラーやそのみ使いに嘘をつく必要があるだろうか。
それに、私がそのことをみ使いから一回、あるいは二回、いや三回(彼は七回までそれを数えた)と(幾度も)聞いたのでなかったら、けっしてそれを話しはしなかったであろう。
しかし、私はそれを彼からそれ以上多く聞いたのだ」と言った。
(注)槍の影が消える、つまり太陽が真上に来る。
アラブは真昼の刻を、昔、槍を立てて知る習慣があった