信仰について
1巻 P.43-45
サイード・ビン・ムサイイブが彼の父から聞いたハディースによると、アブー・ターリブの臨終に近い頃、アッラーのみ使いは彼を見舞いにおいでになった。
そこには、アブー・ジャフル・アムル・ビン・ヒシャームとアブドッラー・ビン・アブー・ウマイヤ・ビン・ムギーラがいた。
み使いはこういわれた
「伯父上よ、『アッラー以外に神はない』と告白して下さい。
そうすればあなたが信者であることをアッラーの前で私が証言します」
これに対しアブー・ジャフルとアブドッラー・ビン・アブー・ウマイヤはいった
「アブー・ターリブよ、あなたは父アブドル・ムッタリブから受け継いだ先祖伝来の信仰を棄てるのですか」
み使いは、伯父に対し信仰告白をするよう繰り返し頼んだが、アブー・ジャフルらも彼の(同じ)言葉を繰り返していった。
アブー・ターリブは最後に決断して、アブドル・ムッタリブの信仰を守ることとし、「アッラー以外に神はない」と告白することを拒否した。
これに対しみ使いはいわれた
「アッラーよ、私はあなたが止めるよう命ずるまで、あなたに伯父のための許しを乞い続けるでしょう」
その後間もなく、アッラーは次の聖句を啓示された。
「預言者であれ、信者であれ、不信者のために許しを乞うのは、たとえその親族であったとしても、許されない。
(彼らが)地獄の居住者たることは、すでに明白であるのだから」(クルアーン第9章113節)
次の聖句もアッラーのみ使いに啓示された。
「あなたが愛する者であっても、正しい道にあなたがその者を導き得るわけではない。
アッラーこそ人を思いのままに導き給う方であり、だれを導き給うか最も良く知り給う方であられる」(クルアーン第28章56節)
前記と同内容のハディースは、ズフリーによっても別の伝承者経路で伝えられる。
ただし、クルアーンのこれら二聖句に言及しない伝承者もあって、後半部分に表現上若干の差異がみられる。
アブー・フライラによると、アッラーのみ使いは死の床に臥す彼の伯父にこういわれた
「『アッラー以外に神はない』と告白して下さい。
そうすれば私が審判の日にあなたがムスリムであることの証言者になります」
しかし伯父(アブー・ターリブ)はこれを拒否した。
この折、アッラーは次の聖句を啓示された。
「あなたが愛する者であっても、正しい道にあなたがその者を導き得るわけではない。
アッラーこそ人を思いのままに導き給う方であり、だれを導き給うか最も良く知り給う方であられる」(クルアーン第28章56節)
アブー・フライラによると、アッラーのみ使いは臨終近い彼の伯父にこういわれた
「『アッラー以外に神はない』と唱えて下さい。そうすれば審判の日に私は、あなたがムスリムであることの証言者になります」
これに対しアブー・ターリブはいった
「死を恐れるあまり改宗したのだと私をクライシュ族の者らが非難する心配さえなければ、私はお前の言葉に従っただろうに」
この折、聖句が啓示された。
「あなたが愛する者であっても、正しい道にあなたがその者を導き得るわけではない。
アッラーこそ人を思いのままに導き給う方であり、だれを導き給うか最も良く知り給う方であられる」(クルアーン第28章56節)