タイトルなし
1巻 P.353-356
アブー・ザッルは次のように伝えている
私は(預言者に)こう尋ねた。
「アッラーの使徒よ、この地上で最初に定められたモスクはどれですか」
すると彼はこういった。
「マッカの聖モスクです」
そこで私はさらにこう尋ねた。
「その次はどれですか」
すると彼はいった。
「エルサレムのアクサー・モスクです」
そこで私はさらに尋ねてこういった。
「二つの間には何年の開きがありますか」
すると彼は次のように語った。
「40年です(注)。しかしどこで礼拝の時刻が来ようとも、あなたはその場で礼拝しなさい。そこがモスクなのです」
またアブー・カーミルが伝えたハディースでは次のようになっている。
「それから礼拝時刻になったらあなたはその場で礼拝しなさい。なぜならそこがモスクだからです」
(注)議論のある所である。
第一の説はどちらのモスクも最初にアダムが建設してその間は40年の開きがあったという主張。
第二の説はエルサレムのモスクは最初にソロモンが建立したのではなく預言者ヤコブが建設したとし預言者イスマイールが父アブラハムとともに建立したカーバ神殿との開きが丁度40年になるというもの
イブラヒーム・ビン・ヤジィードは伝えている
私はモスクの中庭で父にクルアーンを読んで聞かせていました。
私がサジダ(平伏)と書いてある一節を読んだ時、父は実際にその場で平伏した。
そこで私は彼にこういった。
「お父さん、道路であなたは平伏するのですか」
すると父はこういった。
「私はアブー・ザッルが次のようにいったことを聞いています」
「私(アブー・ザッル)がアッラーの使徒にこの地上で最初に定められたモスクについて尋ねたら、彼は『マッカの聖モスクだ』といいました。
そしてさらに私が『その次はどれですか』と尋ねると彼は『エルサレムのアクサー・モスクだ』といいました。
それで私は『二つの間には何年の開きがあるのですか』と尋ねると彼は次のように答えていった。
『40年です。その後大地はあなたにとってモスクになりました。だから礼拝の時刻になったらその場で礼拝しなさい』」
ジャービル・ビン・アブドッラーはアッラーの使徒が語ったとして次のように伝えている
「私は以前には誰一人として与えられなかった五つ(の特典)を授けられた。
即ち、かつての預言者達はそれぞれ彼の属する特定民族のために特に遣わされました。
しかし私は全ての赤い人(注1)や黒人のために遣わされました。
また私には私以前には許されなかった戦利品の分け前を手に入れることが許された。
また私のためにこの大地は豊かで清浄なものとされ大地をモスクとすることが許された。
だから誰でも礼拝の時刻になったらその場で礼拝すべきです。
また私は人が歩いて一ヵ月もかかるほど遠くにいる敵をも飲み込んでしまう(敵の)恐怖心によって助けられた(注2)」
また私はシャファーア(来世におけるアッラーへの執り成し)の特権を与えられた(注3)。
(注1)黒人に対する白人系人種のこと
(注2)しばしば戦わずして勝利をおさめた初期イスラームの歴史を暗示している
(注3)執り成しの特権は多くの預言者に与えられたがここでは他の預言者には与えられなかった最後の審判の日の執り成し特権について語られている
ジャービル・ビン・アブドッラーの伝えた同様のハディースは別の伝承者経路を経ても伝えられている。
フザイファはアッラーの使徒が語ったとして次のように伝えている
「我々(イスラーム教徒)は三つの点で他の人々に卓越するように定められた。
私達の礼拝時の人列は(天上の)天使の隊列と同じである。また大地は全てモスクとされその土は水のない時でもそれでもって浄められることとされた(注)」
フザイファはさらにこう伝えた。
それから彼(預言者)はもう一つの卓越した点を述べた。
(注)水の無い場合は砂による清浄行為(タヤンムム)が許されている
同様のハディースがフザイファから別の伝承者経路を経てつたえられている。
アブー・フライラはアッラーの使徒が次のように語ったとして伝えている
「私は他の預言者達より六つの点で卓越性を授けられた。
私は少ない言葉で豊かな意味を持つクルアーンを与えられた。
また敵の恐怖心によって私は助けられた。
また戦利品の分け前を受けとることが許された。
また大地が清浄なものとされ礼拝所とされた。
また私は全ての被造物(全人類)に使徒として遣わされた。
また私をもって預言者の系譜は封印された」
アブー・フライラはアッラーの使徒が次のようにいったとして伝えている
「私は少ない言葉で豊かな意味を持つクルアーンを携えて遣わされた。
また私は敵の心に起った恐怖心によって助けられた。
また私は眠っている間に大地の資源を開く鍵(注)を与えられそれらは私の手の中に納められた」
アブー・フライラはさらに次のように伝えている。
かくてアッラーの使徒は昇天されたがあなた達は今それを手に入れることに忙しい。
(注)栄誉とか力とか勝利など精神的なものと解釈する場合と征服に伴う諸王朝の宝物の入手を想定した富や物質と解釈する場合がある
アブー・フライラからの同様なハディースが別の伝承者経路で伝えられている。
このハディースはアブー・フライラから別の伝承者経路を経ても伝えられている。
アブー・フライラはアッラーの使徒が次のようにいったとして伝えている
「私は敵の心に湧き起った恐怖心によって助けられた。
また少ない言葉で豊かな意味をもつクルアーンを与えられた。
また寝ている間に大地の蔵の鍵を与えられそれが私の手中に置かれた」
ハンマーム・ビン・ムナッビフは次のように伝えている
これはアブー・フライラがアッラーの使徒について語ったいくつかのハディースのうちの一つである。
「私は敵の心に起った恐怖心で助けられました。そして少ない言葉で多くの意味をもつクルアーンを与えられました」